2009年06月04日

あなたはどんな人を愛してきましたか...

あなたはどんな人を愛してきましたか...

友人たちを招いて映画を見る。
大好きなロメールの『モンソーのパン屋の女の子』と『シュザンヌの生き方』。60年代のフランス映画。
どちらも学生の恋愛譚だけれど,いやはや今日日の日本の学生さんの生活とは違います。
よく遊ぶけれど,バイトはしないし,よく勉強する。
それと... 学生としての階級意識(今の若い学生諸君には分からんよな〜〜)...
まあ,そんじょそこらの若い女性,つまり学生ではない=中産階級ではない女性への蔑視には,私でさえショックを受けます。
時間がないので本題へ〜〜

ポリティカリー・コレクトネスを欠くこの作品に何故私が惹かれて続けているか(始めた見たのは,20年以上も前,思い出一杯の地の,今はもう潰れた映画館だった)...
それはこの映画,というかこのシネアストが,「俺は/私はこの人が好き,この人を愛してる」と自覚するまでに至る,心理の機微を執拗に,そして信じられないほどの明晰さで描き続けているからだ。

人は外見上,肉体上誰かに惹かれていることはあっても,中々「身も心も」という状態にはならない。意味の動物だからね。
そして,誰かを好きだと心の底から自覚するには,いろんなことが関与してる...
それまでの自分の恋愛経験,それまで付き合ってきた人との甘い思い出+心の傷...
恋愛の対象と出会った時の自分の心理,経済状態,職場,学校,家族での状況...
誰かとつき合っている最中での出会いなら,今の配偶者,恋人との関係...
<運命の恋愛>,<一生に一度の大恋愛>も実は,数えきれないほどの偶然と,そして幾多の<ためらい>(自分の,相手の,そして第三者の....>から成り立っていることを,ロメールという監督ほど明晰に(残酷なほど明晰に)描ける人はいないのではないだろうか...

偶然が関与しない恋愛なんてない...
これは別に恋愛の価値をおとしめるものではないと思う。
偶然の手助けなしには,<大恋愛>なんて存在しない。これはつまり同時に,恋愛のすばらしさでもある。

偶然に助けられながら,そして幾多のためらいを乗り越えて,人は恋に落ちて行く...
自らの運命を作って行く...

凡庸な恋愛映画に飽きた人に,恋愛が何だったか忘れそうになっている人にお薦めの2作品です。

そう



Posted by 日曜日 at 11:29│Comments(0)
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